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手書きの署名・押印
紙の文書にペンで書く署名や、印鑑で押す印影のこと。紙の契約書で本人の意思を示してきた伝統的な方法で、電子署名と対比される。
「手書きの署名・押印」とは?
手書きの署名(英語で wet signature)は、紙にインクで書く署名です。日本では署名に加えて、または署名の代わりに押印が広く使われてきました。民事訴訟法第228条第4項は、私文書に本人またはその代理人の署名または押印があれば、真正に成立したものと推定すると定めています。
ただし、押印も署名も、契約を成立させるための要件ではありません。民法第522条第2項により、法令に特別の定めがない限り契約は方式を問わず成立します。2020年以降、行政手続きや民間取引で押印を見直す動きが広がり、多くの企業が電子契約に移行しました。
今でも手書きや自書が必要な場面はあります。代表例は自筆証書遺言で、全文、日付、氏名を自書し押印する必要があります(民法第968条。財産目録を除く)。婚姻届などの届出や、公正証書の作成なども、それぞれの法律が定める手続きに従う必要があります。
紙の契約書には、郵送や押印のための手間に加えて、印紙税の負担もあります。請負契約書、不動産の売買契約書、金銭消費貸借契約書などを紙で作ると、記載金額に応じた収入印紙が必要になり得ますが、電子で締結すれば一般に不要です。
私たちの見解:取引先が紙と押印を求める場合は、無理に電子にこだわる必要はありません。ただ、「押印がないと契約が無効になる」という誤解は多いので、電子署名での締結を一度提案してみる価値はあります。
電子契約に移行するときは、取引先ごとに「電子署名で締結してよいか」を確認し、合意できた相手から順に切り替えるのが現実的です。社内でも、どの文書を電子にし、どの文書を紙のまま残すかを一覧にしておくと混乱を防げます。
海外の取引先から「wet signature が必要」と言われた場合は、紙にペンで署名した原本を求められています。国によっては、公証や在外公館での認証(アポスティーユなど)と組み合わせて求められることもあります。こうした書類は、電子署名に置き換えられないことが多いので、早めに手続きを確認しましょう。
よくある誤解は、「電子契約は、紙の契約より証拠として弱い」というものです。紙の契約でも、押印が誰によってされたかが争われることはあります。電子署名では、監査証跡とハッシュ値によって、送信、閲覧、署名の経緯と改変の有無を具体的に示せるため、状況によっては紙よりも説明しやすいこともあります。
「手書きの署名・押印」の具体例
昔ながらの取引先が、契約書に署名と実印の押印を求めてきます。電子署名での締結を提案し、合意できれば、印刷、押印、郵送の手間と、紙の契約書にかかる印紙代を省けます。
関連する用語
よくある質問
押印がない契約書は無効ですか?
いいえ。法令に特別の定めがない限り、押印は契約の成立要件ではありません。
認印と実印で効力は違いますか?
契約の成立という点では違いはありません。実印は印鑑登録証明書と組み合わせることで、本人が押したことを示しやすくなります。
紙の契約書をスキャンして PDF にすれば電子契約になりますか?
紙で締結した契約書の写しを電子化しただけで、契約は紙で締結されたものです。印紙税も紙の原本の作成時点で判断されます。
紙と電子の契約書が混在しても大丈夫ですか?
問題ありません。ただし、紙の契約書は紙で、電子の契約書は電子帳簿保存法に従って電子で保存するなど、保存のルールがそれぞれ異なる点に注意してください。
電子で締結した契約書に後から押印する必要はありますか?
法令に特別の定めがない限り、必要ありません。電子で締結した契約書を紙に印刷して押印すると、どちらが原本か分かりにくくなるため、電子のまま保存するのが基本です。
手書きの署名を写真に撮って送れば契約になりますか?
契約が合意で成立する場合は、方法を問わず成立し得ます。ただし、写真やスキャンでは誰がいつ署名したかを示しにくく、改変も検知できないため、証拠としては電子署名サービスのほうが確実です。