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eIDAS
EU の電子識別と電子取引のためのトラストサービスに関する規則(EU 規則第910/2014号)。EU 全域の電子署名のルールを定める。
「eIDAS」とは?
eIDAS は、2014年に採択され、2016年7月から適用されている EU の規則です。すべての加盟国に直接適用され、電子署名、電子シール、タイムスタンプなどのトラストサービスのルールを統一しています。2024年には EU 規則2024/1183号(いわゆる eIDAS 2)で改正され、欧州デジタルアイデンティティウォレットが導入されました。
電子署名についてはシンプル、高度、適格の3段階を定めています。第25条は、電子署名は電子的であることや適格でないことだけを理由に法的効力や証拠としての許容性を否定されないこと、適格電子署名は手書きの署名と同等の効力を持つことを定めています。ある加盟国で発行された適格証明書に基づく適格電子署名は、他の加盟国でも適格電子署名として認められます。
日本の会社にとって eIDAS が関係するのは、主に EU の取引先と契約するときです。相手から「QES(適格電子署名)で」と求められたら、EU の適格トラストサービス事業者のサービスが必要になります。日本の電子署名法の制度とは別物で、日本の認定認証事業者の証明書が自動的に EU の適格証明書として扱われるわけではありません。
一方で、EU の取引先との通常の業務委託契約、秘密保持契約、販売代理店契約などは、シンプルな電子署名で締結されることも多くあります。どの段階の署名が必要かは、契約の準拠法、相手国の国内法、相手の社内規程によって決まるため、早めに確認しておくと手戻りを防げます。
私たちの見解:EU の取引先とのやり取りでは、契約書のドラフトの段階で「署名の方法」を一行決めておくのがおすすめです。シンプルな電子署名で合意できればそのまま進め、QES が必要なら相手が指定するサービスで署名する。それだけで、締結直前の混乱をかなり減らせます。
eIDAS は電子署名だけでなく、電子シール(法人の電子的な印)、タイムスタンプ、電子書留配達サービス、ウェブサイト認証なども規律しています。日本でいえば、電子署名法、タイムスタンプの認定制度、電子委任状などに分かれている制度を、一つの規則でまとめたものといえます。
EU の取引先から署名の方式について質問されたときは、「当社のサービスはシンプルな電子署名で、監査証跡と文書のハッシュ値を記録する」と説明すれば、相手も eIDAS のどの段階に当たるかを判断できます。あいまいに「電子署名です」とだけ答えるより、話が早く進みます。
「eIDAS」の具体例
日本のソフトウェア会社がドイツの販売代理店と契約します。通常の代理店契約はシンプルな電子署名で締結し、相手の社内規程で QES が必要な書類だけ、相手が指定するサービスで署名します。
関連する用語
- シンプルな電子署名: 特別な証明書や装置を使わない電子署名。描いた署名、入力した氏名、クリックによる同意などを、記録とともに文書に結びつけるもの。
- 高度電子署名(AdES): eIDAS が定める中間の段階の電子署名。署名者に一意に結びつき、署名者を識別でき、後の変更を検知できるもの。
- 適格電子署名(QES): eIDAS の最上位の電子署名。適格証明書と適格署名作成装置に基づき、EU 全域で手書きの署名と同等の効力を持つ。
よくある質問
eIDAS は日本でも適用されますか?
いいえ。eIDAS は EU の規則です。日本では電子署名法や民法が適用されます。ただし、EU の取引先との契約では eIDAS を意識する必要があります。
eIDAS 2 で何が変わりましたか?
EU 規則2024/1183号による改正で、欧州デジタルアイデンティティウォレットや新しいトラストサービスが導入されました。シンプル・高度・適格という電子署名の3段階の考え方は維持されています。
イギリスやスイスにも eIDAS は適用されますか?
いいえ。スイスは EU 加盟国ではなく独自の法律があり、イギリスは EU 離脱後、国内法として引き継いだ制度を運用しています。相手国ごとに確認してください。
eIDAS の適格トラストサービス事業者はどこで確認できますか?
EU が公開しているトラストリスト(EU Trust List)で、加盟国ごとの適格トラストサービス事業者とサービスを確認できます。